入浴の健康効果
入浴は日本人にとって身近だけに、気づきにくいかもしれません。
しかし入浴の健康作用は医学的にも明らかにされており、具体的にいえば免疫機能のアップ、自律神経の調整、血流改善、基礎代謝・体内酵素の活性化、精神的ストレスの軽減など効果はさまざまです。
◎ 睡眠の質が向上する
◎ 主観的健康感(自覚する健康状態)がよくなる
◎ 「幸福度」が高くなる
◎ 3年後、要介護状態になるリスクが30%少する
『寝てもとれない疲れ』を解消する入浴法
疲労回復にとって大切なのは、「血液循環」と「自律神経」、そしてそのあとに続く「睡眠」。
疲労回復に関していうと、もっとも重要なのは「湯船に浸かること」。
お風呂がもたらす温熱効果や静水圧の効果がしっかりと発揮されないため、血液が循環せず、疲労回復効果も低くなってしまうのです。
十分な体温上昇(0.5~1℃)、血流アップによる老廃物の代謝、副交感神経への刺激など
重い疲れがとれる入浴法「5つのルール」
疲労回復にとって大切なのは、「血液循環」と「自律神経」、そしてそのあとに続く「睡眠」。
疲労回復に関していうと、もっとも重要なのは「湯船に浸かること」。
お風呂がもたらす温熱効果や静水圧の効果がしっかりと発揮されないため、血液が循環せず、疲労回復効果も低くなってしまうのです。
十分な体温上昇(0.5~1℃)、血流アップによる老廃物の代謝、副交感神経への刺激などは、湯船に使ってこそ得られる健康効果だということ。
温度は40℃
①温度は40℃
温度は40℃が最適。「少しぬるい」と感じる温度、そこには幅広い年齢層・体力層にとって低リスクだという利点がある。
安全面において、のぼせやヒートショックなどの体調不良を起こしにくいというメリットがある。疲労回復やリフレッシュ、体の痛みの改善につながる。
②「全身浴」で肩まで浸かる
半身浴では「温熱作用」の効果が半減してしまうので、しっかりと全身でお湯に浸かったほうが体は温まり、血流もよくなるということ。つまり半身浴より全身浴のほうが健康効果は高いので、しっかり肩まで浸かることが大切。そうすれば静水圧と浮力により、体の隅々にまで血液を送ることができるため、温熱効果もアップすることになる。心臓や呼吸器に疾患のある人は、肩までお湯に浸かると息苦しく感じる人は、無理せず半身浴にしておいたほうがいいです。
入浴時間は10~15分
③浸かる時間は、10分から15分
入浴は10~15分で大丈夫です。その変わり大切なのは、毎日湯船に浸かること。その程度の時間であれば心身に大きな負担はかからず、しっかりと体が温まるわけです。目安は、顔や額が汗ばんでくる程度。
なお、ちょっと息苦しいという場合は自律神経のスイッチが交感神経に入っていることもあるので、浴槽から出て休むことが大切。心臓、血管、呼吸器に疾患がある方は注意が必要です。
我慢してお湯に浸かり続けると、入浴熱中症(のぼせ)になることもあるので、健康を求める入浴で体調を崩したのでは本末転倒です。
④入浴剤でリラックス効果アップ
血流アップ&疲労物質除去効果がある「硫酸ナトリウム」を含む入浴剤を使用するのもいい。また、泡が出る「炭酸系」入浴剤は血管を拡張させて血流を改善させます。
自分のお気に入りの香りを胸いっぱいに吸い込むことでも、リラックス効果を高めることが可能。
⑤入浴後は、温熱効果を逃さない
お風呂から出たあと、裸でのんびりするのは厳禁。早めにタオルで水分を拭きとり、毛布や布団にくるまることが大切です。
なお、お風呂で汗をかいたあと、扇風機や冷房で涼むのも基本的にはNG(のぼせてしまった場合は別)。せっかく温まった体が冷めてしまい、血流のよい状態がすぐに終わってしまうからです。
睡眠の質がアップする「深く眠れる入浴法」
疲れをとるためにもっとも重要なのは睡眠。
睡眠は副交感神経を優位にして体を休ませ、日中に消耗した器官の修復や、新たなエネルギーを貯蔵するための大切な時間です。
睡眠の質を格段にアップさせる効果がお風呂にはある。
「副交感神経優位」に切り替えておく
睡眠の質を高める入浴法についてまず重要なのは、自律神経のスイッチを副交感神経に切り替えること。体が興奮状態のままでは、リラックスして体を休めることは困難。
「ベッドに入ったあとも目が冴えて入眠までに時間がかかる」という場合は、うまく副交感神経優位の状態に切り替えられなかった可能性があるのです。
風呂は、就寝の「1~2時間前に」
良質な睡眠を取るためには、上手に体温を下げていくことが大切。体を温めることももちろん大切なのですが、人間は体温が高いままでは安眠できず、眠りの質が低い睡眠状態が続いてしまいます。
お風呂に入るといったん体温が上がり、約1時間半程度で急速に下がってきます。つまり、このタイミングでベッドに入れば良質な睡眠がとれるということ。
小さな子どもは、眠くなると手足が温かくなりますが、「手足の体温が高い状態」というのは、体が熱を体外に放出して体温を下げている状態。副交感神経が優位になり、血液を体の隅々まで行き渡らせることで、体の末端から熱を逃し、結果として睡眠に入るということ。
ところが交感神経が優位のままだったり、手足が冷たい冷え性だったりすると、熱がうまく放散できず、逆に体の温度が高いままになり、眠りの質を下げてしまうわけです。
「お風呂で心身を温め、血流をアップさせる&副交感神経を優位にする→手足から熱を放出する→体温が下がる」というのが理想的な流れ。
睡眠の質を高めるためには、最終段階の「体温が下がる」タイミングと、入眠のタイミングを合わせることが大切。そのためには、「お風呂から出たあとの1~2時間以内」にベッドに入るべき。
夕食から就寝までは「3時間あける」
眠るときに食べ物が消化管に残っている状態では、質の高い睡眠にはならず、また血糖値が高い状態でも体をリラックスさせることは困難。糖質を含む食事をすると脳にエネルギーが送られるため、体が興奮状態になってしまうというのです。
夕食後に1時間程度の休憩を設けてお風呂に入ることを勧めています。その1時間の間に、体内で消化を落ち着かせるということ。そうすれば、入浴の代謝機能によって、血糖値下降や消化・吸収が進み、穏やかな就寝につなげていくことができるわけです。
こうして考えていくと、ぐっすり眠るためには、夕食後から寝る前までのスケジュールが自然とできてくるもの。夕食後に休憩を1時間、お風呂に30分(湯船に浸かるのが10~15分)、歯磨きや着替えなど就寝準備に30分~1時間という流れが理想的ですね。